仮説が外れても検証過程で構築する独自のデータベースや新規の実験系が他者の役に立つなら、それも立派な創造性です。全か無かのギャンブルではなく、着実に学術的インフラを遺す「転んでもただでは起きない」計画の書き方。

審査員が危惧する「全か無か」の構造
科研費の審査において、「本研究の学術的独自性と創造性」は採択を左右する分水嶺です。ここで多くの申請者が陥るのが、自身の仮説がいかに斬新で、それが実証された暁にはどれほど大きな学術的変革が起きるか、という成功した未来のみを力説してしまう状態です。
研究には高い目標が必要です。しかし、審査員は同時に、この野心的な計画が頓挫したとき、投じた研究費は無に帰すのではないかという現実的な懸念を抱きながら調書を読んでいます。検証作業が一本道の構成になっており、仮説が棄却された瞬間に何も残らなくなる計画は、どれほど魅力的であっても高い評価を与えにくいのが実情です。
求められているのは、未知への挑戦に対する期待感と、最低限の成果を確実に担保する堅牢性の両立です。公金を用いる以上、何も得られなかったという結果を審査員は最も警戒します。そのため、計画のどこかに確実な着地点を用意しておく設計が不可欠となります。
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