申請書の波及効果や独創性を書く際、「あれもこれも」と要素を詰め込むと、かえって審査員の印象に残りません。複数のメリットを羅列するのではなく、研究の核心を支える3つの観点に絞り込むことで、論理の純度と説得力を高める方法を解説します。

要素の羅列が引き起こす審査側の混乱

科研費や学振の申請書を執筆する際、自身の研究の価値を少しでも高く伝えたいという思いから、波及効果や独創性を思いつく限り列挙してしまう申請書を頻繁に目にします。学術的な意義、社会実装への期待、教育的な効果、さらには他分野への応用可能性など、多岐にわたるメリットをひとつの項目に詰め込む書き方です。

こうした記述の背景には、要素を多く提示するほど研究の価値が高く見えるはずだという心理があります。あるいは、網羅的に書いておけば審査員の誰かの専門領域に引っかかるかもしれないという期待が含まれていることも少なくありません。しかし、この足し算のアプローチは、審査員の負担を増やし、かえって研究の魅力を損なう結果を招きます。

審査員は自身の研究や教育業務を抱える多忙な研究者であり、限られた期間内に多数の申請書を読み込み、評価を下さなければなりません。そのような状況で、あらゆる要素が詰め込まれた総花的な記述に直面すると、情報の優先順位が判断できず、結果としてどの要素も強い印象に残らないという現象が起きます。「あれもこれも解決できる」という主張は、申請者自身が自分の研究の最も鋭利な部分、すなわち核心的な価値を絞り込めていないという印象を与えてしまう原因になります。

創造性や独創性は、要素の数によって証明されるものではありません。不要な情報を削ぎ落とし、純度を高めた記述からこそ、研究の真の価値が正確に伝わるようになります。

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