申請書の目的欄に「地球を救う」と書いていけません。審査員が知りたいのは壮大な夢でも単なる作業手順でもなく、この数年間でどこまで到達するのかという現実解です。大目標と本計画の目的を切り離し、審査員が評価できる解像度で目的を記述しましょう。

なぜ壮大すぎる目的は審査員を困惑させるのか
科研費や学振の申請書を読んでいると、研究の意義をアピールしようとするあまり、風呂敷を広げすぎている記述に頻繁に出会います。たとえば、気候変動の解決、難病の完全な克服、あるいは業界全体の抜本的な改革といった言葉です。もちろん、研究者として目指すべき究極のゴールを持つことは素晴らしいことですが、それを今回の研究計画の目的としてそのまま書いてしまうと、審査員は困惑してしまいます。
審査員も一人の人間です。自身の研究や教育、雑務に追われるなか、膨大な数の申請書を読み込んでいます。彼らもまた、限られた予算のやり繰りに苦労している実務家なのです。数年間、数百万から数千万円のプロジェクトで地球環境が救えたり、がんが完全に克服できたりするとは、誰も思っていません。壮大すぎる目標をいきなり掲げられると、かえって「この申請者は自分の研究の立ち位置や、予算と期間に対する実現可能性を客観視できていないのではないか」という疑念を抱かせてしまいます。
その一方で、極端に逆の方向へ走ってしまうケースもあります。「何百件のアンケート調査を実施する」「特定の遺伝子配列をすべて解析する」といった、ただの作業リストを目的として書いてしまうパターンです。これも審査員を落胆させます。それは研究を遂行するための手段であって、目的ではないからです。
審査員が求めているのは、遠い未来の夢物語でもなければ、目の前の細々とした手順書でもありません。その助成期間内に確実に到達可能でありながら、該当する学問分野に対して明確な一歩をもたらす現実的な到達点です。本記事では、研究目的を適切なスケールに設定し直し、審査員が安心して採択の判断を下せる申請書を書くための具体的な考え方を解説します。
このアーカイブはゴールド会員限定です
この記事は、毎年 6月25日 の当日のみ無料公開されます。
本日は対象外の日付のため、アーカイブの閲覧にはゴールド会員への登録が必要です。
所属機関に有料版をおねだりしませんか?