科研費の「研究背景」が単なる文献レビューになっていませんか?審査員を惹きつける鍵は、順調な現状から一転して未解明の壁に直面し、本研究がそれを打ち破るという「V字回復」のストーリーテリングです。

審査員を退屈させる「平坦な文献レビュー」からの脱却
科研費や学振の申請書を作成する際、多くの人が最も頭を悩ませ、そして最も改善の余地を残しているのが研究背景のセクションです。この部分を執筆するとき、私たちは無意識のうちに過去の知見を年代順やテーマ別に並べ立ててしまう罠に陥りがちです。先人がこの事実を明らかにし、続いて別のグループがこの手法を開発した、だから私は次にこの未解明のテーマに取り組む、という論理展開です。
執筆者本人にとって、この平坦な積み上げ型の構成は、学術的な事実を正確に記述した誠実な文章に思えるかもしれません。しかし、読み手である審査員の立場に立って考えてみてください。彼らは多忙な研究活動の合間を縫って、何十件、時には百件近い申請書を読み込んでいます。教科書のような歴史の解説が延々と続く文章は、彼らの集中力を容赦なく奪っていきます。
審査員が求めているのは、その分野の歴史を網羅的に学ぶことではありません。彼らが知りたいのは、なぜこの研究を今おこなう必要があるのか、そしてなぜ多額の税金をそこに投入すべきなのかという強烈な必然性です。
起伏のない平坦な文章は、単に読者を退屈させるだけでなく、研究課題が本来持っている重要性や面白さまでも隠してしまいます。客観的な事実を並べるだけでは、人を納得させる論理は構築できません。事実をどのように配置し、どこに光を当てるかという構成の妙がなければ、読者の心は動きません。この履歴書のような平坦な記述から脱却し、審査員を迷子にさせることなく研究の核心へと導くためには、文章全体の構造を抜本的に見直す必要があります。
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