申請書の「着想に至った経緯」で、先行研究と自分の予備知見を単に「一方で」と繋いでいませんか。審査員が知りたいのはデータの羅列ではなく、「なぜ今あなたがこの研究をやるのか」という説得力あるストーリーです。

なぜ「本研究の着想に至った経緯」で審査員は躓くのか

科研費の審査において、多くの審査員が「本研究の着想に至った経緯」の項目で読む手が止まってしまう瞬間があります。それは、分野の背景や先行研究の動向が語られた後、突如として申請者自身の予備実験のデータや過去の実績が、無関係な事実のように羅列されている文章に直面したときです。

一般的な申請書によく見られるのは、「Aの研究が進んでいる。しかしBは未解明である。一方で私は最近Cというデータを得た。だから本研究を提案する」という構成です。両者の間に論理的な結びつきがなく、「一方で」や「ところで」といった接続詞で唐突に話題が切り替わってしまいます。多忙な審査員は限られた時間の中で研究の価値を判断しなければなりませんが、文脈が切断されると、頭の中で自ら論理の橋を架ける作業を強いられ、内容がすんなりと入ってきません。

審査員がこの項目で求めているのは、分野の一般的な知識や、申請者のデータそのものの優秀さではありません。なぜ世界中の誰でもなく、この申請者が、まさに今このタイミングでこの研究課題を思いついたのかという着想の必然性です。事実が分断されたままでは、研究構想が単なる思いつきに見えてしまい、計画全体の説得力が大きく損なわれます。

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