科研費の申請書で「本テーマはこれまで研究されていないため新規性が高い」と書いていませんか。審査員が知りたいのは未開拓という事実ではなく、なぜその研究を今やらなければならないのかという必然性です。単なる隙間埋めから脱却し、学術的な意義を論理的に提示する方法を解説します。

「誰もやっていない」が評価されない理由
科研費の申請書において、自身の研究の新規性をアピールすることは極めて重要です。しかし、多くの申請者が「先行研究を網羅的に調査した結果、このテーマにはまだ誰も手をつけていない」という事実をもって、研究の意義が証明されたと誤認してしまいます。背景欄に「本テーマに関する研究はこれまで十分に行われていない。したがって本研究は極めて新規性が高い」と記述してしまうケースは後を絶ちません。
審査員は、多忙な合間を縫って何十件もの申請書を読み込む研究の最前線に立つ同僚です。彼らの視点に立てば、未開拓の領域が存在するという単なる報告は、何の説得力も持ちません。「誰もやっていない」という事実は、「技術的に不可能だったから誰もできなかった」あるいは「そもそも学術的に取り組む価値がないから放置されていた」という可能性を全く排除できていないからです。
限られた国家予算をどの研究に投資すべきかを判断する際、審査員は「なぜこれまで誰もやらなかったのか」そして「多額の予算を投じてまで、なぜ今それをやらなければならないのか」という厳しい目を向けています。地図上の空白地帯を指差し、ただそこに自分の旗を立てたいと主張するだけでは、公的資金を獲得する論理としては決定的に不足しています。
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