科研費の審査区分表と学振の審査区分表は微妙に異なっていますが、大枠の考え方は同じであり、
- 審査員が審査可能な申請書をまとめるため
- 分野間で採択率の方よりが起きにくくするため
です。そもそもが審査の公平性を担保するための措置ですから、特定の区分に出すと有利といったことは基本的にはありません。
どの区分で応募するべきか
応募可能な審査区分が1つしかない場合は、どんなに悩もうがそこに応募するしかないので、余計なことを考えず、申請書のブラッシュアップを目指しましょう。考える時間がもったいないです。
問題は応募できそうな審査区分が複数ある場合です。これといった正解はありませんが、応募する区分を決定するうえでのヒントをいくつか挙げていきます。
応募者数の多いところに出す
科研費データ → Ⅲ.科研費の配分状況 →
(1)研究種目別配分状況 → 2)審査区分別配分状況 (小区分、種目ごと)
(2)審査区分別配分状況 → 1)大区分・中区分別応募・採択件数・配分額 (大区分、中区分ごと)
の応募データをみることができます。
ここでのポイントは応募件数です。中区分ごとに5-6倍ほど異なっており、小区分単位で見れば応募数が1桁~3桁までさまざまです。採択率をみるとどの小区分も概ね30%前後ですが、採択率が最大と最小の小区分では10%もの差があります。


令和5年度科学研究費助成事業(科研費)の公募から適用する「審査区分表(内容の例)」等に関する意見募集について(※意見募集は終了しました)│文部科学省
このデータにあるように、応募件数が少ない領域では、運の影響が大きくなる傾向があります。もし自信が全くない場合は、応募件数が少ない領域に挑戦して一発逆転を狙うのも一つの方法です。逆に、十分に準備を整えているのなら、運の要素をできるだけ排除するためにも、応募件数の多い領域に挑む方が成功の可能性を高められるでしょう。
人文・社会科学を選択できるなら、応募を考えてみる
採択率は応募件数に概ね比例するよう、小区分ごとに補正がかかっています。ただし、人文・社会科学の申請課題は平均配分額が顕著に少ない傾向にあり、自然科学系の申請課題は平均配分額が高い傾向にあります(実験科学はお金がかかる)。
おそらくこのこともあり、採択率だけで見るとわずかですが人文社会科学系の方が高い傾向にあります。このわずかな違いだけを目的に、無理に人文社会科学系の区分に応募する必要はありませんが、頭に入れておいても損はないでしょう。

評価してくれそうな審査委員のいる区分に応募する
現在の審査員はわかりませんが、過去の審査委員は公表されています。
候補となる区分の審査委員をチェックし、どこならば自分の申請書を適切に評価してくれるかを判断するようにします。