審査員は「あなたの分野の素人」です。いきなり実験手順を語ると彼らは迷子になります。必要なのは「なぜその手法か」を示す論理の架け橋です。目的と手法の間に一行の「ブリッジ」を挟むだけで、申請書の説得力は劇的に向上します。その記述ロジックを解説します。

導入:審査員が「読み飛ばす」瞬間の心理
研究計画調書における最大の失敗の一つは、審査員の基礎知識を過大評価してしまうことです。
あなたは日頃、同じ研究室の同僚や指導教員と議論する際、いちいち「なぜこの実験が必要か」という前提を説明しないかもしれません。「〇〇を用いて××を測定する」と言えば、相手はその背景にある文脈を一瞬で理解し、「それは良いアプローチだ」と判断してくれるでしょう。これは、互いに共通の背景知識を持っているハイコンテクストな会話だから成立します。
しかし、科研費の審査員は異なります。彼らは科学のプロですが、あなたの狭い専門領域に関しては素人に毛が生えた程度の知識しか持ち合わせていません。
そのような読み手に対し、唐突に具体的な実験手順や調査の詳細を提示すると、どうなるでしょうか。
審査員の脳内では、以下のような拒絶反応が起きます。
「手法はわかった。しかし、なぜ今それを調べる必要があるのか?」
「その測定は、研究目的の達成において本当に決定的なのか?」
この必然性が欠落したまま記述された手法は、単なる作業リストに過ぎません。他人のToDoリストを読まされる苦痛は、審査員の集中力を削ぎ、結果として「重要性が伝わらない」という評価につながります。
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