科研費の問いには未知の地図を描く探索的アプローチと、仮説に白黒をつける検証的アプローチがあります。申請書でこの2つが混ざると審査員は迷子になります。手持ちのデータと分野の成熟度から最適な問いの形式を選択してください。

審査員を混乱させる問いのねじれ

科研費申請書の審査において、研究課題の核心をなす学術的な問いを一読した際、審査員がこの研究は結局のところ何を探したいのか、あるいは何を証明したいのかと首を傾げてしまうケースが多々あります。この原因の多くは、申請者が自身の研究アプローチにおける基本的なスタンスを明確に定めていないことに起因します。

研究における問いには、大きく分けて二つの方向性が存在します。一つは未知の事象の全体像を把握しようとするオープンな問いであり、もう一つは特定の仮説が正しいかどうかを判定しようとするクローズな問いです。

多くの不採択となる申請書では、この二つの性質が無自覚に混ざり合っています。例えば、背景で特定のメカニズムは全くの未知であると探索的な物語を広げておきながら、問いの段階で物質Aは機能Bを促進するかと極めて限定的な検証的クエスチョンを設定してしまう場合です。あるいは逆に、本研究では特定の理論の正しさを証明すると宣言しておきながら、研究計画を見ると様々な条件で網羅的にデータを取得し何が起きるか観察するという探索的な行動に終始している場合もあります。

このようなねじれは、審査員に研究のゴールが見えていない、あるいは仮説の精度が低いという致命的な悪印象を与えます。自分の研究が未知の地図を描こうとしているのか、それとも特定のルートが正しいことを証明しようとしているのか。この二律背反するアプローチの性質を正しく理解し、自覚的に使い分けることが、論理的な申請書作成の第一歩となります。

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