科研費の種目によって最適な「問いのサイズ」は異なります。基盤研究と同じノウハウで挑戦的萌芽や学振に挑むと高確率で失敗します。各制度の趣旨(将来性・破壊的イノベーションなど)から逆算し、最適な問いの粒度と物語のパターンを選択します。

種目ごとに異なる「問い」の評価基準

研究資金の申請書において、「どのような種目にも通用する万能な問いのサイズ」は存在しません。基盤研究で極めて高く評価された申請書を、そのままの論理構造で挑戦的研究や学振に流用しても、多くの場合、不採択という結果に終わります。

この悲劇は、研究者を悩ませる二律背反の要求に起因します。それは、堅実なデータに基づく「確実な実現可能性」と、分野の常識を覆す「壮大なビジョン」のトレードオフです。

基盤研究は、現在進行形の分野の空白(リサーチギャップ)を確実に埋める、手堅い検証的アプローチが好まれます。ここでは「問いのサイズ」は、研究期間内に確実に白黒がつく適切な粒度に絞り込まれている必要があります。しかし、この手堅い問いを、未来のリーダー育成を掲げる学振や、破壊的イノベーションを求める創発的研究支援事業に持ち込むと、「スケールが小さすぎる」「既存研究の延長線上にすぎない」と一蹴されてしまいます。

逆に、挑戦的研究に向けて練り上げた野心的な問いを基盤研究に持ち込めば、「夢物語であり、実行計画が伴っていない」と批判されます。審査員は、各制度が定める独自の審査手引という色眼鏡を通してあなたの問いを評価します。読者である審査員の期待値に合わせて、問いのサイズと、それを提示するための物語のパターンを戦略的にチューニングしなければなりません。

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