科研費の概要冒頭で何も考えず「近年、〇〇が社会問題となっている」と書き出していませんか?多忙な審査員の心を掴むには、背景を徐々に絞り込む漏斗型ではなく、初手で学術的危機を突きつける「ヘッドライン型」の構成が有効な場合があります。

多くの研究者が陥っている誤ったマインドセット
科研費の審査において、審査員が最も集中力を研ぎ澄ませているのは、申請書の1ページ目、概要の冒頭の数行を読み始める瞬間です。しかし、多くの研究者はこの最も価値のあるスペースを、誰もが知っている一般常識の記述で浪費するという致命的な誤ったマインドセットに陥っています。
「近年、地球温暖化による環境破壊が深刻化している」
「AI技術の急速な発展により、社会構造は大きく変化しつつある」
このような、ニュース番組のオープニングのような一文から書き始めてはいないでしょうか。研究者はしばしば、専門外の審査員を配慮するあまり、対象分野の最も外側にある極めて広い背景から語り起こし、徐々に自分の専門領域へと焦点を絞っていく構成をとります。しかし、多忙を極める審査員にとって、教科書レベルの前提知識を読まされる時間は苦痛以外の何物でもありません。彼らは「社会がどうなっているか」を知りたいのではなく、「あなたがどの学術的な急所に切り込もうとしているのか」を知りたいのです。
退屈な冒頭は、審査員の脳内にある期待値のスイッチを瞬時にオフにしてしまいます。最初の2行で「この研究は既存の焼き直しに過ぎないのではないか」という先入観を与えてしまえば、その後にどれほど精緻な研究計画が書かれていても、評価を覆すことは極めて困難になります。
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