申請書の概要で最も致命的なのは「結局、何をするのか」が伝わらないことです。この問題を解決する「短文の3点セット」技術を紹介します。着眼点、目的、方法をそれぞれ1文に独立させ、解像度を上げることで審査員の理解度は劇的に向上します。

審査員がその表現を見た時、どう感じて躓くのか

科研費や学振の申請書において、審査員が最も知りたい情報は極めてシンプルです。それは「結局のところ、あなたはどうやって何を解決するのか」という一点に尽きます。しかし、多くの申請書の概要は、この最も重要な核心部分が深い霧に包まれています。

審査員が概要を読み進め、背景や過去の研究についての記述を通過し、「いよいよこの研究の出番だ」と期待を高めたその瞬間に、次のような文章が現れたらどう感じるでしょうか。

「本研究は、〇〇という社会的問題を背景に、これまで十分に検討されてこなかった△△の性質について、多様な観点から網羅的に比較検討を行うことで、そのあり方を明らかにし、分野の発展に寄与するものである」

一見すると学術的で立派な文章に見えますが、審査員の頭の中には「で、具体的に明日から何をするの?」という強いフラストレーションが生まれます。多様な観点とは何なのか。網羅的とはどのような範囲なのか。あり方を明らかにするとは、どのような状態になれば研究が完了したと言えるのか。すべてが曖昧で解像度が低いため、研究の具体的な映像が脳内に結像しません。

情報を詰め込もうとするあまり、一文の中に背景、目的、方法、意義がすべて混ざり合い、主語と述語の距離が遠く離れてしまっているのも典型的な躓きの原因です。審査員は、迷路のような長文を読み解き、申請者が本当にやりたいことを脳内で再構築する作業を強いられます。この認知的な負荷は、研究そのものの実現可能性への疑念へと直結します。何をするかが不明瞭な研究に、国費を投じることはできないからです。

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