科研費や学振の概要欄。記入要領の8項目を均等に書いていませんか?10行という制約の中では、研究の性質によって強調すべき項目が変わります。課題解決型、パラダイムシフト型など4つの研究タイプ別に、最適な文字数配分と構成のテンプレートを解説します。

概要における網羅性と強調のジレンマ

科研費や学振の申請書において、最初のページに配置される概要は、審査員がその研究の全体像を把握するための極めて重要なセクションです。記入要領には、背景、現状、問題点、目的、計画、展望などを含めて10行程度でまとめるよう指示があります。文字数にしておよそ400字から500字という厳しい制約の中で、多くの申請者が直面するのが網羅性と強調のトレードオフというジレンマです。

真面目な申請者ほど、記入要領に示された要素をすべて均等に盛り込もうとします。広い背景に1行、狭い背景に1行、これまでの研究に1行、未解決の問題に1行、自分のアイデアに1行……とパズルのように言葉を当てはめていきます。しかし、この均等配分戦略を採用すると、どの要素も表面的な説明にとどまり、結果として非常に平坦で印象に残らない概要が完成します。審査員は多忙なスケジュールの合間を縫って数十件の申請書を連続して読んでいます。すべてが平均的でメリハリのない文章は、彼らの記憶に留まることはありません。

一方で、自分の研究の最大のウリである特定の要素だけを強調しすぎると、今度は前提となる背景や最終的な展望が抜け落ち、専門外の審査員を迷子にさせてしまうリスクが生じます。この二律背反を解消するためには、すべての要素を均等に扱うという前提を捨て去り、自身の研究の性質に合わせて文字数の配分を意図的に偏らせる高度な戦略が必要です。

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