申請書と論文を別々の作業ではなく、相互に補完し合う関係にあります。申請書の論理構造を論文の序論へ、論文の考察を次期申請書の問いへ「還流」させることで、執筆の労力を減らし全体の質を向上させる論理的構築法を解説します。

申請書執筆を「研究の中断」と捉える前提の誤り
秋の科研費シーズンが近づくと、多くの研究者が「論文を書きたいが、申請書を書かなければならない」という葛藤を抱えます。申請書の執筆を、研究活動そのものや論文執筆を阻害する中断期間あるいは純粋な事務作業と捉えている方は少なくありません。無事に申請書を提出した後は、そのファイルをパソコンの奥深くにしまい込み、再びゼロから論文の執筆に向かう。このような分断された作業手順は、極めて非効率です。
多くの研究者が無意識に陥っている前提は、申請書と論文を「完全に独立した別の読み物」として扱っている点にあります。確かに、読者(審査員か査読者か)や目的(資金獲得か成果発表か)は異なります。しかし、自身の研究の学術的意義や、解決すべき問いの重要性を論理的に説明するという根幹の構造において、両者は強く結びついています。
この分断された認識を改めない限り、申請書を書くたびに多大な時間を消費し、論文執筆の時間が削られるという悪循環から抜け出すことはできません。本記事では、申請書と論文を対立させるのではなく、相互に論理を供給し合う「還流」の仕組みを構築し、研究活動全体の生産性を高める思考法を提示します。
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