日本史や国文学などドメスティックな分野で国際性を書く際、日本独自の文化だから重要と主張するのは逆効果です。欧米中心の主流理論が抱える死角を指摘し、日本の事例をその理論をアップデートするための不可欠なデータとして位置づけることがコツです。

導入
科学研究費助成事業や学術振興会特別研究員の申請書において、日本史、国文学、民俗学、あるいは特定の地域社会を対象としたドメスティックな研究を専門とする研究者は、国際性や海外動向との関連を求められる項目で筆が止まりがちです。
対象が日本国内に限定されている以上、海外の研究動向とは無縁である。あるいは、日本の独自性を解明すること自体が目的なので、無理に海外と比較する必要はない。このように考え、申請書に無理やり英語での論文発表を予定していると書いたり、海外の学会に参加してアピールするといった表面的な活動報告でお茶を濁してしまうケースが後を絶ちません。
しかし、審査員が求めているのは英語力のアピールや渡航計画ではありません。あなたのそのローカルな研究が、世界の学術的文脈においてどのような意味を持つのかという論理的な位置づけです。
日本の特殊性を声高に主張すればするほど、それは世界の学術コミュニティから見れば自分たちには関係のない局地的な現象として切り捨てられ、学問的な孤立を招きます。審査員は、閉じた世界で完結する研究に大型の国費を投入することに躊躇を覚えます。必要なのは、対象が日本であっても、問題意識の射程が世界に届いていることを示す記述戦略です。
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