学振の志望動機で「貴研究室の優れた環境で学びたい」と書いてしまうと、研究者としての独立性を疑われてしまいます。審査員が求めるのは、受入研究室のリソースと自身の専門性の掛け合わせによる相乗効果です。対等な研究者としての貢献を明記しましょう。

謙遜が招く論理の破綻
学振(日本学術振興会特別研究員)のDCやPDの申請書において、自己分析や受入研究室への志望動機、さらには評価書(推薦書)に関する項目は、研究計画本文と同等に重要な意味を持ちます。なぜなら、これらの項目は申請者が「独立した研究者として課題を遂行できる資質を備えているか」を直接的に問う箇所だからです。
しかし、多くの申請者がここで無意識のうちに不適切な記述をしてしまいます。それは、受入研究室に対して「学ばせていただく」「指導を仰ぐ」という、学生としての姿勢を前面に出してしまうことです。優れた設備や著名な研究者のもとで自己研鑽に励みたいという動機は、個人の感情としては自然なものです。しかし、審査員が求めているのは、与えられた課題をこなす優秀な学生ではなく、自らの足で立ち、学術界に新しい知見を提供する初期キャリアの研究者です。
審査員は多忙な研究活動の合間を縫って、膨大な数の申請書を読み込んでいます。彼らが知りたいのは「なぜその研究室でなければならないのか」という必然性であり、申請者の熱意や謙遜ではありません。受入先への過度な依存や、一方的に知識を吸収するだけの姿勢を記述することは、研究者としての独立性が未熟であると自ら告白しているのに等しくなります。この前提のずれが、内容全体の説得力を大きく損なう原因となるのです。
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