学振の自己分析において、主体性や粘り強さといった資質を直接言葉にしていませんか。審査員が知りたいのは自己評価ではなく、その資質を裏付ける客観的な行動事実です。評価を他者に委ね、事実のみを淡々と記述することで説得力を持たせる具体例の解説。

審査員がその表現を見た時、どう感じて躓くのか
学術振興会特別研究員(DC/PD)の申請書において、研究者としての資質を問う欄は記述の自由度が高く、それゆえに多くの申請者が表現の選択を誤ります。前回の解説ではリーダーシップや探究心を取り上げましたが、主体性、粘り強さ、協調性、計画遂行能力といった他の資質においても、同様の構造的な躓きが頻発します。
「私は常に主体的に研究に取り組んできました」、あるいは、「困難な課題にも決して諦めずに粘り強く対応しました」といった記述は、読み手の印象に残らないばかりか、論理的な思考力への疑念を生じさせます。審査員は、申請者が自身の長所を主観的な言葉で列挙するのを読みたいわけではありません。そのような形容詞や副詞の羅列は、どれほど熱意を込めて書かれたとしても、裏付けのない自己申告として処理されます。
審査員が評価の基準とするのは、過去にどのような状況下で、どのような具体的な行動を選択し、どのような結果を生み出したのかという客観的な事実の蓄積です。感情を交えた抽象的な主張が続く文章は、事実という根拠を欠いているため、審査員はそこから申請者の真の能力を推測することができず、評価のペンを止めてしまいます。
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