申請書作成は家づくりです。キッチンや寝室の動線が悪ければ台無しです。申請書にただ文章を流し込むのはやめましょう。「何を書くか」と同時に「どこにどう配置するか」を意識し、審査員が快適に読み進められる最強の間取りを設計する技術を解説します。

1. 導入:公募要領の「枠」に騙されるな

科研費の公募要領には、「本研究の学術的背景」「学術的独自性と創造性」といった枠(記入欄)が用意されています。多くの研究者は、この「枠の名称」を「絶対的なルール」だと勘違いしてしまいます。

  • 「背景」の欄だから、過去の論文レビューだけを書かなければならない。
  • 「独自性」の欄だから、比較対象(課題)は書かずに、自分のすごい点だけを書かなければならない。

これは、家を建てる際に、「キッチンには、冷蔵庫以外(例えばダイニングテーブル)を置いてはいけない」と考えるような思考停止です。
枠の名称は、あくまで空間の区分け(ゾーニング)に過ぎません。住みやすい家(読みやすい申請書)を作るためには、キッチンの一部にカウンター(食事スペース)があってもいいし、リビングの一角に書斎があってもいいのです。

読み手を迷子にさせないためには、書くべき内容である「要素(必要な機能)」と、それを配置する「構成(間取り)」を分けて考える必要があります。枠の名前に縛られず、論理の動線を優先して設計する。これが「申請書の建築学」です。

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