研究における「アイデアの掛け算」とは、単にAとBを並べる「足し算」ではありません。それは「A分野の成功構造(システム)」を「B分野の課題」へ論理的に移植する「構造的転用」です。審査員が評価するのは、遠く離れた異質なもの同士をつなぎ、かつ整合性が取れている計画です。独自性を生むための「知的借用」の技術を解説します。

1. 導入:足し算の罠と掛け算の本質
多くの申請書を見ていると、「独自性」を出そうとするあまり、単なる「足し算」に陥っているケースが散見されます。
Aという手法を用い、さらにBという解析も行います。
これは掛け算ではなく、ただの足し算(並列)です。審査員から見れば、それは総花的であり、研究の焦点がぼやけているように映ります。あるいは、「あれもこれもやる時間があるのか?」と実現可能性を疑われる原因にもなります。
真の研究の「掛け算」とは、要素を増やすことではありません。「異なる枠組み(コンテキスト)同士を化学反応させること」です。
既出の記事で解説した「オズボーンのチェックリスト」が既存アイデアの変形であり、「挟み撃ち」がシーズとニーズのすり合わせであるならば、今回提案するのは「アナロジー(類推)」による構造の移植です。
ある分野の常識を別の分野に持ち込んだとき、それは誰も見たことのない革新的な研究計画へと変貌します。審査員に「その手があったか」と言わせるための、論理的な架橋技術を解説します。
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